ZeroAce BBS

SBH小説スレッド(ALL:7)
一覧表示 全部表示 最新25 -100
[6] 名前:ワニ:2008/10/30 14:51
  *第二章-出発点-


その姿は、頭は闘牛、首から下は筋骨逞しい人間の肉体で、身長は2メートルを優に超えている。
その怪物の足元で女性が息絶えている。
シメン『ミノタウロスだ…。』
隣にいるにも関わらず、やっと届くような声を喉から振り絞る。
テリエ『えっ?』
思わず聞き返す。
シメン『ミノタウロスだよ、街からずっと北東の平原地帯にいるモンスターだ。』
思わずシメンの顔を見て、叫びかけた。
テリエ『何でそんな怪物がここにいん…』

ドッ

ミノタウロスと目が合い、言葉が続かなかった。
怪物はテリエ達に気づくと同時に、右足で地面を蹴り、
両手で巨大な斧を振り上げ飛び掛ってきたのだ。
咄嗟に2人は左右に飛び、転がる。

辛うじて直撃は免れたが、地面には1メートル近くの亀裂が入っている。
シメン『や、やばいぜテリエ!逃げるぞ!!』
返事ができる状況ではない、
すぐさま振り返り走り出そうとするが、何かにぶつかり再び倒れそうになる。
???『オイオイ、大丈夫かよ?』
24,5歳くらいだろうか、金髪で感じの良い人だ。
服は少し丈の長いローブのような物を羽織っていて、杖を持っている。
???『街ん中にまで入ってくるとはなぁ…』
ブツブツ言いながら、杖で地面を2、3回突く。
すると綺麗な、青い魔方陣が地面に浮かび上がり、同時に透き通った妖精が魔方陣上に現れた。
手足が細く、妖美なその女(妖精)が何かを呟くと、一陣の風がミノタウロスを囲み刻み付けた。
同時にそれは手に持っていた巨大な斧を手元から滑り落とし、
膝から崩れるように倒み、断末魔を上げた。
???『ヤレヤレ』
面倒くさそうに再び杖で地面を突くと、妖精と魔方陣はすぐに消えた。

あまりに突然の出来事に、言葉を失う。

???『お前、、名前は?』
男に声を掛けられ我に返った。
テリエ『テ、テリエ。そいつはシメンです。』
ひっくり返ったままのシメンを指差し答えた。
ハーコンセン『フーン…。あ、俺はハーコンセンだ。宜しくな』
2人をちらっと見ると、すぐに続けた。
ハーコンセン『お前ら、この街の用心棒になる気ィねーか?』

テリエ・シメン『…はっ?』

怪物といい妖精といい、この男といい
何が何だか分からなくなり、混乱する頭にトドメを指した。

ハーコンセン『悪い悪い、いきなりこんな事言われてもなぁ〜』
初めて笑顔を見せた、余計に感じが良く見える。
座り込んで経緯を話し出した。
ハーコンセン『実は最近、モンスターの様子がおかしくてな、
あの都市壊滅以来、街の近くへは踏み入れなかったはずなのに、
半年前から街の周辺でモンスターが目撃されているんだ』
テリエ『はい…』
一応相槌を入れるが、ハーコンセンは聞こえていないかのように続ける。
ハーコンセン『この街には優秀な剣士も、魔法使いもいる。
けどさ、お前らみたいに悲鳴を聞きつけて飛んでくるようなヤツは中々いねーんだなぁ、
分かるよな?』

全く分からない。

たまたまこの時に、この近くにいたから飛んできただけだ。
テリエ・シメン『分か…』
ハーコンセン『分かるよな、うん』
テリエ・シメン『(えぇ…っ)』
戸惑いの表情を見せる二人を余所に、彼は続けた。
ハーコンセン『まー、つっても。
いきなり用心棒やれっつったって、そんな丸腰じゃどうしようもねーよな。
いざって時のために、剣と着るモン一式くらいは俺が面倒みてやるからよ』
そう言うと、腰に吊るしている小袋から紙幣を取り出し、テリエとシメンに1枚ずつ渡した。
ハーコンセン『あの店見えんだろ』
「何でも揃ってます。」の看板を掲げているレンガ造りの家を指して言った。
ハーコンセン『あそこで好きなもん買え、ま。大したもんは買えないだろうけどなぁ』
また笑っているが、そんな場合では無い。
ハーコンセン『じゃ、俺はこれで…』
用件を言い終えるとすぐに立ち上がり、ローブを翻した。
テリエ『ちょっ、ちょっと待って!!』
遅かった。男は先ほどの妖精のように、スッと目の前から消え去っていた。

暫しの沈黙。

最初に沈黙を破ったのはシメンだった。
シメン『俺、やるわ』

テリエ『エ・・・?』
つい聞き返した。

シメンはすぐに答えた。
シメン『この街好きだしさ。』
テリエ『え、いや、そりゃ俺だって…。』

更にシメンは思い出すように続けた。
シメン『ショッホさんの話思い出したんだ、80年前の』
テリエ『(…お前ほとんど寝てただろ…)』
シメン『なんつーか、やっぱほっとけねーよ。誰かやんなきゃいけないんだろ?』
テリエ『まぁ、な』
否定できなかった。
シメン『お前はもう少し考えろよ、俺は、やるからさ』
黙っていると、シメンはバッグを持ち上げ、続けて言った。
シメン『じゃ、俺は先に帰ってるぜ。』


ガーゴイルの石像の前で、胸を切り裂かれ横たえる女性の亡骸を目の前にして、
決心がついたのはシメンが帰ってからすぐの事だ。



                                To be continue
名 前: E-mail: スレッド位置:
画 像:
動画(1):(2):
(3):(4):
※YFH、Youku、みこみこ動画、TokyoTube、TokyoPornTubeはURL、Veoh、ニコニコ動画、YouTubeはURLとHTMLタグいずれにも対応。
※YouTube、Veoh、Youku、みこみこ動画、TokyoTubeは掲示板上での再生が可能。ただし複数動画を投稿する場合は画像表示のみ。

※画像は2048KBまで 

一覧表示 全部表示 最新25 -100
 

 

 

DMM.com CD&DVDレンタル

ゴブリングールスケルトンフェアリーガーゴイルハーピィアーマーナイトミノタウロスグリフォンドラゴンピラニアマーメイドシージャイアントゴーレムマンティコアサイクロプス

ZeroAce BBS