| *第一章-運命-
老人の名はショッホ。 今年で100歳になる。
ここを訪れてから、かれこれ4時間は経っただろうか。
ショッホ『君は、えーと、シメンと言ったかのう』 腕を僅かに上げ、私を指差す。 テリエ『違いますよ、ショッホさん。オレはテリエだって、何回も言ってるじゃないっすか〜』 更に続けて言う。 テリエ『そこでふて寝してんのがシメンっすよー、、なぁ?』 シメンはだるそうに顔を上げ、頬杖をすると答えた。 シメン『あぁ』 それだけ言うと、再びテーブルに顔を埋める。 ショッホ『そうか。悪かったのう、シメン君。それで、わしの話は役に立ちそうかね?』 テリエ『えぇ、参考になりそうです。』 歴史に興味の有るテリエは、今回レポートを作成しようと考えここを訪れたのだ。 シメンはその付き添い、つまらないに決まっている。 テリエは少し窓をチラっと見ると続けた。 テリエ『でも嘘みたいっすね。こんな小さな町に、そんな過去があるなんてさ…』 ショッホは一息置いて答える。 ショッホ『わしもまるで夢を見ていたようじゃ。わしらは二度と同じ過ちを犯さぬようにせねばな…』
ザッ。
シメン『もう帰ろうぜ〜?』 既に大きなバッグを肩にかけ、帰り仕度を終えたシメンが言う。 少し戸惑ったが答えた。 テリエ『…だなっ』 シメンに急かされるように立ち上がると、軽く頭を下げて言う。 テリエ『ショッホさん、色々お話し聞けてよかったっす。ありがとうございました!』 ショッホは微笑み、答えた。 ショッホ『気をつけて帰るんじゃぞ。街の中は安全だが、まだモンスターだっているからな』 再び軽く頭を下げ、100メートル近くある廊下を進み、巨大な扉を開けて外へ出る。
階段を下るとガーゴイルの石像に気を取られ、軽く振り返る。 ここは街の図書館だ、あの老人は館長を務めている。 80年前、街の復旧が進む中、ショッホの提案で建てられたものだ。 茶色い屋根が妙に古めかしい。
シメン『なー、テリエ。あんな話し聞いてどーすんだよ?』 疲れきった顔でシメンが聞く。 テリエ『お前は興味無いかもしんないけどなー。あんな貴重な話し、なかなか聞けないぜー!?』 シメン『ふーん。』 興奮するテリエを余所に、相変わらずの顔で素っ気無い返事をする。
日もすっかり落ちている。 暗闇の道を街灯と月の光が照らす。 疲れきったシメンと、未だ興奮が収まらないテリエは、ただ黙々と歩く。 それから、丁度15分程歩いた頃だ。
キャァァー!!!!
テリエ・シメン『!?』 突然の甲高い声にビクっとする。 シメン『何だ今の!?』 テリエは咄嗟に後ろを振り返り、叫ぶ。 テリエ『図書館の方からだ、行くぞ!!』 言うと同時に歩いてきた道をいっきに掛け戻る。
To be continued
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